不治の病の治療に行きたい

今週のお題「あったかくなったら」

 

不治の病にかかっている。

感染したのは恐らく20年以上前、そこから少しずつ少しずつ体を蝕み、去年いよいよ不治の病と宣告された。

それは恐らく家族にも感染した。

 

私の不治の病の病名は『北海道病』

医者に診断をくだされたわけではない。

妻と一緒に先例や客観的データと突き合わせて自ら診断をくだした。

 

去年の夏、1ヶ月程オホーツク、空知、宗谷地方をうろついた。

走行距離は計り知れない。

旅を終えて妻に「何が一番良かった?」と聞いた。

そしたら、「借りてた家の台所から見えた、何でもない日々の夕焼け空」が忘れられないとのこと。

私も同感である。

北海道で、ふと足を止めて呼吸を止めて見入ってしまうのは、観光地でもない名も無き場所から見上げた空と雲。

 

そして年末年始には津軽海峡が見渡せる誰も行かないだろう町に1週間滞在した。

文字通り滞在した。

雪が降りすぎて、天気が悪すぎて函館にもどこにも行けなかった。

ただただ家の窓からいつ止むかもわからない雪と白い景色を眺めていた。

でも不思議と、これまでずっと旅行を重ねてきて、世界中半端なく移動を繰り返してきたどの旅よりも、何もせずに1ヶ所に滞在した今回の旅の充実度が高かった。

 

暖かくなったら不治の病を治すためにまた北海道に行くのだろうか?

でもこれは不治の病だから完治はしない。

一時的な治療に行くということだ。

 

何とも恐ろしい病だ。

それほどに北海道の自然は雄大で美しく、食べ物もおいしく、人々は鷹揚としている。