何かが始まる予感

加湿器を枕元に置いて寝たら、ゴォーっとずっとなっていてうるさい。
でも必ずしも不快ではない。
この音は何かに似ている。
そうだ、飛行機の機内の中で聞こえるエンジン音なのか空調の音なのか、ずっとなっているあの音だ。

飛行機の中では熟睡できない。
寝たかと思ったら突然「ティン」とベルト着用サインが鳴って起こされる。
フライトアテンダントは始終何かカサカサ動き回っている気配もして落ち着かない。

長時間十分な睡眠も確保できないまま、いよいよ機体は高度を下げて、上昇する気圧が耳を圧迫してきて、ますます耳は聞こえなくなり、着陸前、辺りは静寂に包まれる。
そんな時に眼下に見える、これまで行ったことのない新しい街の灯りが見えてくる。
あの時の期待とも不安ともとれるゾクゾク感がたまらない。
何かが始まる予感。