誕生日にふられた

昔長く付き合った人に、誕生日にふられたことがある。
誕生日の数週間前から急に連絡が途絶え、そして誕生日に合わせて手紙が届いた。
もう会えないことがそこに書かれていた。
まるで夢を見ているみたいだった。
村上春樹の小説によく出てくる、主人公と親しい関係にあった人が突然姿を消すみたいに。

誕生日にふられるというのは、全人格を否定された気分になる。仕返しをしたい相手には有効な手段だ。
でもそれだけ私が彼女を深く傷つけていたということなのだろう。
それから何年も立ち直れなかった。

今はとても幸せだが、誕生日が近づく度に、また何か大切な物を失うのではないかと不安になる。