ハルキストではない

私は、村上春樹が書いた小説のうち3冊だけを好んで読む。

国境の南、太陽の西』『ノルウェイの森』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』については何度読んだかわからないし、なぜ海外でもうけるのかなと思って英語でも何回も読んだ。

他の小説については、いつも途中でストーリーがわからなくなって読むのを断念してしまう。

したがって私は、村上春樹の熱狂的なファンであるハルキストではない。

 

彼の小説を読んでいると、例える必要の無い箇所でわざわざ長い比喩表現を用いたり、二重否定を用いたりと、これらが無ければ総ページ数がだいぶ少なくなるだろうなと思ってしまう。英語で読むと、中学だか高校だかで習った「as if ~」という構文がやたら出てきて面倒になる。

それでも、しばらく彼の文章から遠ざかっていると、彼のまどろっこしくキザな独特の言い回しが無性に恋しくなる時がある。

 

私の親しい友人が、いわゆる”ハルキスト”であるのだが、彼女がある時こう言った。

「世の中には、村上春樹を必要としない、人生で負けたことの無い人がいるのよ」

 

村上春樹をそのように捉えたことがなかった。つまり、村上春樹は弱者に優しい小説家なのか?

それはよくわからないけど、私が好きな3冊の主人公は、どれも内向的だ。